リリカル・ミステリー

久しぶりに本の話題。

最初に作者の友桐夏に注目したのは去年の12月、店頭で発売されたばかりの「春待ちの~」が並んでいるのを見たとき。何かしら惹かれるものはありましたが、最初の巻が売ってなかったのでそのときは見送っていました。
しかし、今月3冊目が出ており、デビュー作からすべて売っていたのを確認し、いい機会だと思い一冊購入、先日パーティションを区切っている途中に読んでしまい、その後すぐに残り二冊も購入した次第。

タイトルについて。全ての作品は「リリカル・ミステリー」と銘打たれています。
最初は普通の話っぽいのに途中から、というか種明かしのところから急にミステリーになり、読み返してみると確かにミステリーだったりするあたりが由縁かな?
シリーズの雰囲気にはぴったりのネーミングだとは思います。

デビュー作「白い花の舞い散る時間」はオフ会でお互いの正体を隠して5人の少女が五日間一緒にすごし別れるという、あらすじだけだとただそれだけの話。
見所は表面上は仲良く過ごしつつも、その裏、内心では陰謀術数が飛び交っているところ。会話や行動から推理し、お互いの関係と利用価値を探りあいます。こういうの大好き。
ついでに、最後の落ちが最高。いわゆるひとつの略奪愛。

二作目「春待ちの姫君たち」は中学から高校に続く恋あ……もとい、友情の物語。三角関係といじめと嫌がらせと約束と裏切りが強烈なスパイス。
前作との関連がまったくない話だったのは密かに評価高いです。賞を取ってデビューした新人は常に新しいことに挑戦するべきであり、安易に続編に走るようでは先が期待できないと私は思っていますので。
話を戻して、評価。最初から最後までどこを開いても読み所でした。素晴らしすぎ。去年のライトノベルではこれが最高傑作だったといっていいかな。うん。

最新刊「盤上の四重奏」は「白い花の~」の前話。箱入り娘が寮制の塾に入り、協力者の助けを得つつ、利用できる手駒を作り敵対者から隠れて過ごす話。前作・前々作よりもミステリーをより前面に押し出している感じかな。
「白い花~」とのリンクは面白いのですが、私的には評価がちょっと落ちます。リンクしている以上先生が出てくるのは仕方がないことですけどねっ! ですがねっ……!


私は本を買うのは基本的に作者買いなのですが、その対象が一人増えたました。
次回作にも期待しています。