半身(サラ・ウォーターズ)

まだまだ帰省中です。

暇に任せてサラ・ウォーターズの『半身』読了。
百合だと聞いて買ってからずっと積んでいたのですが、実家の近所の古本屋で見かけて二冊目を購入した次第。
ライトノベルとかでない普通の小説を読むのは久しぶりです。
結構前の小説だけど一応ミステリーなので微妙にネタバレ注意。
独房からは信じがたい静寂が漂ってきた。獄内の静けさを残らず集めたより深い静謐が。それを破ったのは溜息。わたしは思わず、中を覗いた。娘は眼を閉じ……祈っている! 指の間には、鮮やかな紫――うなだれた菫の花。1874年秋、倫敦の監獄を慰問に訪れた上流婦人が、不思議な女囚と出逢う。娘は霊媒。幾多の謎をはらむ物語は魔術的な筆さばきで、読む者をいずこへ連れ去るのか?(裏表紙)
百合でした。百合なのはいいんですが悲恋なので過度な感情移入は危険ですね。
というか危険でした。終盤の展開から読後しばらく精神的ショックで呆然。
途中までは本当にいい感じにガールミーツガールな恋愛小説だったのになぁ。ガールといっても主人公は三十路近いお嬢さんだけど。
この悲劇具合は『ヤミと帽子と本の旅人』に近いものがあるかな? アニメを引き合いに出すのもどうかと思いますけどね。
しかしヤミ帽と違ってこっちはどう解釈しても百合にしかならないのはいいところ。いや、メイドが《実は男》だったらその限りではないか?
逆にヤミ帽と違って救いはありません。最後は自殺を匂わせてたりするし。いやそこに救いが無くは無いような気もするんですが。
……色々確認するためにもう一回読み直したい気もするけど、読み返すのが辛いです。


やっぱり百合だと聞く続作『荊の城』が早く読みたくなってきましたよ。家のどこにしまってたかな?